「『自分は天才だ』と思い込んでのぞむ」。東京ゲームショウ(TGS)出展を懸けたプレゼンテーション
校舎のオープンスペースで、カタカタと忙しなく響くキーボードの音。
画面をのぞき込み、意見を交わし合うメンバーたちの目は真剣そのものです。
有志メンバーが、個人、またはチーム制作でオリジナルゲームの企画から開発までをトータルで行っています。
彼らが目指すのは、9月開催予定の国内最大級のゲームの祭典「東京ゲームショウ(TGS)」での作品出展。
スクール内選考を通過した作品がTGSのステージへ進むことができます。
7月上旬に、東京・大阪・名古屋・福岡の校舎をオンラインでつないで実施されたスクール内選考会。
15人のメンバーとチーム制作を行う専門部・富土蒼さん、坂上豪さん、高等部・塚本琥珀さんに密着します。

【1. 「開発した僕も、ボタンを押してみないとどうなるか分かりません!」『Magic Chronicle(マジッククロニクル)』】
富土蒼さん「『Magic Chronicle(マジッククロニクル)』は、魔法陣型のカードを盤面に置き、魔法の玉を通過させて敵を倒す連鎖構築型ローグライクパズルゲームです。コンセプトに『ピースがはまった時の爆発的な爽快感』を掲げています」
その言葉の意味は、プレゼンが進むにつれて会場に伝わっていきます。
富土さん「このゲームの面白さは、『爽快なコンボ』と『思わぬ連鎖』にあります!
『爽快なコンボ』は、魔法陣同士のシナジーによって生まれます。魔法の球は、カードの機能によって左右上下に動きます。狙った通りの戦略でバシッと動き敵にダメージを与えられた時、脳汁が出るような爽快感を味わえます!2つ目が、想定外のところから巻き起こる『思わぬ連鎖』です。皆さん、これ、アタックボタンを押したらどうなるか分かりますか?」
見守るクラスメイトやスタッフからは「分かりません!」と声があがります。
富土さん「実は、開発した僕自身もどうなるのか分からないんです。やってみましょう、アタック!……おおっ、すごい連鎖が!(笑)。このように『爽快なコンボ』は、大人がじっくり戦略性を楽しめる要素、『思わぬ連鎖』は、子どもでも直感的に楽しめます。両方を兼ね備えていることが、本作の最大の強みです」

アセットは既製品を一切使わず、すべてゼロから手作りしたものだといいます。プロジェクトの始動は2025年11月。現在の完成度は60%ほど。今後はエフェクトやサウンド、レベルデザインを磨き、8月中旬の完成、秋のストアリリースを目指します。
質疑応答では、名古屋校スタッフから「玉が魔法陣を何度も往復していました。盤面が「詰む」状態にはならないんでしょうか?」と質問があがりました。
富土さん「魔法陣には玉が通過するたびに削れる『耐久値』があり、0になると消滅します。玉が盤面の外に出ると敵のターンへ切り替わるので、詰むことは起きない仕様にしています」と解説。発表を終えたばかりの富土さんに自己採点を聞くと「80点くらいです、途中早口になってしまいました」と振り返ります。

――チームはどのように編成しましたか?
富土さん「開発当初は、プログラマー2人でスタートしましたが、ゲーム制作イベント『GAME JAM』で良いデザイナーに出会い誘いました。サウンドクリエイターは、所属する部活・G-Labで見つけて声を掛けました」
――チーム制作での学びは。
富土さん「コミュニケーションを取ることの大切さです!Discordというアプリでやり取りしているのですが、全メンバーのコメントに『見ましたよ』というリアクションをつけることを意識しました。リアルではほぼ会わないからこそ、認識の違いを早い段階で見つけることが大切です」
【2. 北欧神話に着想を得た、3Dサバイバーアクションゲーム『Rebirth Of Ragnarok(リバース・オブ・ラグナロク)』】

総勢18人のチーム「Project.GO」が開発する『Rebirth Of Ragnarok(リバース・オブ・ラグナロク)』は、北欧神話から着想を得た3Dサバイバーアクション。神々と巨人族の最終戦争「ラグナロク」、生き残った雷神トールは、その力を人間の少女に託し、少女は巨人との対戦にのぞみます。重厚感のある攻撃「闘神モード」と、雷光となって戦場を駆け抜ける「雷神モード」を備え、「2つの爽快感」を味わえるのが特長。発表時の完成度は約7割です。

坂上豪さん「このような大きな舞台で挑戦をすることは初めてですが、最高のゲームをバンタンのインディチームとして、様々な方にプレイしていただきたいと思っています!その思いはどのチームよりも強いです」と、自信たっぷりに語りました。

【3. 「自分は天才だ」と思い込んで、舞台に立つ——塚本琥珀さん】
――プレゼンの順番がもうすぐですが、今の気持ちは?
「『自分は天才だ』と強制的に思い込むようにしています!自分が作ったものを誰かに遊んでもらえるのは、クリエイターとして何よりの喜びなので、全力で楽しんできます!」と話すのは、塚本さん。

「王冠を奪われたスライムの逆転劇」をテーマに、2Dアクションゲームを制作中の塚本琥珀さん。ドット絵のカラフルな世界を、スライムが駆け抜ける爽快感がポイント。
昨年実施された「東京ゲームショウ2025」に、チーム制作した作品「TierA.I.M」(ティアエイム)で出展した経験を持ちます。

――いちばんこだわったパートは?
塚本さん「わかりやすさとレベルデザイン(難易度調整)です。TGSには、ゲームになじみがない人、子どもから年配の方まで、不特定多数の方が来られます。『自分が想定していなかったタイプの人たち』にも楽しんでもらうための設計が、すごく難しかったです」
――具体的なアプローチは?
塚本さん「とにかく画面を極限までシンプルにしました。1プレイ2〜5分の『サクサクプレイ』にしています」
発表を終えたメンバーの表情には安心感、達成感がにじんでいました。
